教科名 | 法医学演習 |
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責任者名 | 近藤 真啓(法医学 准教授) |
学期 | 前期 |
対象学年 | 6学年 |
授業形式等 | 演習 |
近藤 真啓
(
法医学
准教授
) |
堤 博文
(
生物学
非常勤講師
) |
岡野 雅春
(
法医学
助教
) |
網干 博文
(
法医学
特任教授
) |
奥田 貴久
(
法医学
兼担講師
) |
坂 英樹
(
法医学
非常勤講師
) |
内ケ崎 西作
(
法医学
非常勤講師
) |
歯科医師として法医学的知識を社会へ役立てるために,死体,生体,さらには医療文書などを対象とした法律上問題となる医学的事項に関する知識を身につける。血痕検査や歯からの性別判定,年齢推定および身元確認に関する実習から導き出された結果が,犯罪捜査や裁判等においてきわめて重要な証拠として価値があることを説明できる。 |
法医学の対象は,死体のみならず生体,文書,各種残留物など,多岐にわたることを説明できる。
歯科医学的の知識をもとに個人識別を行うことができる。 歯を含む骨・硬組織からの性別判定及び年齢推定を実施することができる。 血液瘢痕試料からの血液型判定法について,その原理を説明できる。 歯科所見による個人識別作業の流れを説明できる。 死後所見の歯科記録を実施できる。 生前所見の歯科記録を実施できる。 歯科所見の比較・照合検査を行うことができる。 |
全講義の受講を前提とし,評価は平常試験(20%),実習試験(20%),定期試験(60%)で行う。
平常試験日:7/6(木) 実習試験日:7/6(木) フィードバック:平常試験終了後,模範解答の掲示又は解説を実施する。 |
担当教員 | 対応時間 ・場所など | 備考 |
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| 月曜日 12:00~13:00
法医学講座 | |
| 月曜日 12:00~13:00
法医学講座 | |
| 月曜日 12:00~13:00
法医学講座 | |
| 月曜日 12:00~13:00
法医学講座 |
授業は法医学に関する重要事項について講義形式で進められ,さらに歯科法医学の分野については,実習及び口頭試問を含む演習形式で実施される。
【実務経験】近藤真啓:遺伝学・分子生物学的な知識や技術および法医学分野における実務経験を踏まえ,基礎研究の知識や技術が法医学分野で如何に有用であるかを学ぶ機会を提供したいと考えています。 【実務経験】堤 博文:戦没者遺骨のDNA型鑑定や災害時の歯科的個人識別事例などの経験談も交えながら,現在行われている個人識別における歯科法医学的なアプローチを説明したいと思います。 【実務経験】岡野雅春:遺伝的多型の知識や技術および法医学分野における実務経験を踏まえ,基礎研究の知識や技術が法医学分野で如何に重要であるかを学ぶ機会を提供したいと考えています。 【実務経験】網干博文:これまで国内外で経験してきた数々の歯科的個人識別の事案を踏まえ,歯科医学的な知識・技術がいかに社会貢献できるか具体的に学ぶ機会を提供したいと考えています。 |
種別 | 図書名 | 著者名 | 出版社名 | 発行年 |
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教科書1 | 歯科法医学(2023)専門歯科学ー法医学演習- | 日本大学歯学部法医学講座 | 蓼科印刷株式会社 | 2023 |
参考書1 | 法歯科医学 第2版 | 高橋雅典 | 永末書店 | 2022 |
参考書2 | 法医学 改訂4版 | 福島博文 | 南山堂 | 2022 |
DP1. 歯科医師としての責務を理解し,患者中心の歯科医療に必要な倫理観をもって医療を実践することができる能力
コンピテンス1: ⻭科医師としてのプロフェッショナリズム 1-1 社会規範を理解し,行動できる。 1-2 歯科医師としての責務を理解し,行動できる。 1-3 歯科医師法および関連法規・規範を遵守する。 1-4 患者の立場や価値観を尊重し,公正な医療を提供する。 DP3. 生涯にわたってリサーチマインドを持ち続けるための基礎となる,論理的・批判的に思考することができる能力 コンピテンス3: リサーチマインド コンピテンシー 3-2 歯科医学・医療に関わる科学的情報を適切に収集できる。 3-3 IT等も利用し情報を論理的・客観的・批判的に思考・分析できる。 3-4 知識と技能をアップデートすることができる。 DP4. 医歯一元論に基づく歯科医学,ならびに自然科学,人文科学の知識を有し,必要に応じて,臨床・教育・研究に応用することができる能力 コンピテンス4: ⻭科医学および関連領域の知識 コンピテンシー 4-1 歯科医学を学ぶ上で必要な自然科学・人文科学の素養を身につける。 4-2人体の発生,発達,成長,老化と死を説明できる。 4-3 人体の正常な構造と機能を説明できる。 4-5 口腔・顎顔面領域の疾患の診断と治療を説明できる。 4-6 歯科医療に必要な材料,機器,ならびに薬物の特性と適切な取り扱い方法を説明できる。 4-8 医療安全を説明できる。 4-9 社会保障制度について説明できる。 |
指定された教科書を事前に熟読し,配布プリントを用いて復習することで十分な学修効果が得られる。 |
授業時間の半分相当を充てて予習と復習を行うこと。 |
生物学(1年前期)
医療と倫理(2年前期) 歯の解剖学実習(2年前期) 人体解剖学実習(2年後期) |
回 | クラス | 月日 | 時限 | 学習項目 | 学修到達目標 | 担当 | コアカリキュラム |
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1 | 5.30 | 6 | 10.性別の判定
1)性別判定の対象 2)歯からの性別判定 (教1)pp.22-27 (参5)pp.264 (参4)pp.103-107 | ・性別判定の対象となる事項について,その関連法規も含めて説明できる。
・骨硬組織などによる性別判定の方法について説明できる。 ・歯の形態(大きさ,形)の性差を説明できる。 ・上下顎歯列模型上の歯の大きさを計測できる。 ・歯の計測学的な手法による性別判定法を実施し,判別分析を用いた性別判定ができる。 |
| B-2-3) 歯科による個人識別 | |
2 | 6.1 | 7 | 11.死亡診断書の作成
(参1)pp.15-16 | ・歯科医師が死亡診断を作成しなければならない事例について説明できる。
・死亡診断書に記載すべき内容について説明できる。 |
| C-5-7) 個体の死 | |
3 | 6.1 | 8 | 12.窒息
(参2)pp.99-113 | ・窒息の症状および経過について説明できる。
・窒息死体の特徴を説明できる。 ・窒息死体の剖検所見を説明できる。 ・窒息の種々のタイプ(鼻口閉鎖・気道閉鎖による窒息死,喉頭浮腫による窒息死,縊死,絞死,扼死,溺死および圧死など)と,そのメカニズムを説明できる。 |
| C-5-7) 個体の死 | |
4 | 6.2 | 7 | 13.年齢の推定(1)
1)骨硬組織による年齢推定 (教1)pp.28-39 (参2)pp.257-263 | ・骨硬組織による一般的な年齢推定法について概説できる。
・メトリックあるいはノンメトリックな年齢推定法について,その推定法が開発された背景を説明できる。 ・年齢推定のための数学モデルについて理解を深め,実際に使用することができる。 |
| C-5-7) 個体の死 | |
5 | 6.2 | 8 | 14.年齢の推定(2)
2)歯からの年齢推定 (1)歯の成長発育状態からの年齢推定 (2)咬耗からの年齢推定 3)年齢推定に利用可能な新規分子マーカー (教1)pp.28-39 (参2)pp.257-263 | ・歯の歯胚の形成から歯根の完成までの一連の発生学的変化を利用した年齢推定法について説明できる。
・歯の加齢に伴う生理的変化の一つである咬耗の進行と年齢との関係を総合的に捉えた咬耗状態による年齢推定ができる。 ・アミノ酸のラセミ化やDNAのメチル化など,近年研究が進んでいる年齢推定のための分子マーカーについて説明できる。 |
| B-2-3) 歯科による個人識別 | |
6 | 6.5 | 5 | 15.性別判定(演習)
(教1)pp.25-27 (参2)pp.264 | ・人体骨格(頭蓋骨など)の男女間における形態学的相違から性別を推定できる。 |
| B-2-3) 歯科による個人識別 | |
7 | 6.5 | 6 | 16.年齢推定(演習)
(教1)pp.28-39 (参2)pp.257-263 | ・歯の歯胚の形成から歯根の完成までの一連の発生学的変化を利用した年齢推定法について概説できる。
・歯の加齢に伴う生理的変化の一つである咬耗の進行と年齢との関係を総合的に捉えた咬耗状態による年齢推定ができる。 ・OPGを用いて,歯の発生学的変化を利用した年齢推定ができる。 |
| B-2-3) 歯科による個人識別 | |
8 | 6.6 | 3 | 17.脳死と臓器移植
(参1)pp.14-17 | ・死の三徴候説について説明できる。
・脳死の判定基準について概説できる。 ・臓器移植法成立の過程を概説できる。 ・脳死と植物状態の違いを説明できる。 |
| C-5-7) 個体の死 | |
9 | 6.12 | 5 | 18.歯科法医学総論(1)
1)歯科法医学の歴史 2)歯科法医学の対象 3)歯科所見による身元確認の有効性 4)歯痕 5)歯から判ること (参2)pp.261-264 | ・歯科法医学と社会との関わりについて,その歴史的変遷を説明できる。
・歯科法医学の対象について説明できる。 ・歯科所見が身元確認になぜ有効かを説明できる。 ・歯痕の種類およびその検査から同定に至るまでの過程を説明できる。 |
| B-2-3) 歯科による個人識別 | |
10 | 6.12 | 6 | 19.歯科法医学総論(2)
歯科情報による個人識別 1)災害時の身元確認法 2)歯科資料の意義 (教1) pp.40-58 (参2) pp.262, 283-284 | ・災害時の身元確認法について説明できる。
・災害時の個人識別における歯科医師の役割を説明できる。 ・犯罪捜査,裁判等において証拠となる歯科資料の価値およびその意義について説明できる。 ・個人識別において歯科診療録,エックス線写真,作業用模型,歯科技工指示書,その他の医療文書の重要性を説明できる。 ・災害時の医療救護活動について概説できる。 ・災害時の歯科医療従事者の活動について説明できる。 ・災害時の個人識別作業の実際について説明できる。 |
| B-2-3) 歯科による個人識別 | |
11 | 6.13 | 3 | 20.親子鑑定
(参2)pp.228-245, 260, 264 | ・DNA鑑定作業の有用性について説明できる。
・親子鑑定が必要になる民事および刑事事件にはどのようなものがあるかについて説明できる。 ・親子鑑定の方法を概説できる。 |
| B-2-3) 歯科による個人識別 C-2-2) 遺伝子と遺伝 | |
12-14 | A B | 6.15 6.15 | 1 ~ 3 7 ~ 9 | 21.歯科所見による身元確認(1)(実習)
1)死後記録の作成 (1)口腔内所見の検査 (2)歯科記録用紙への記入 (教1) pp. 47-67 (参1) pp. 156-167 | ・死後記録作成のための諸検査の種類を列挙できる。
・遺体の歯科所見採取時の留意事項について説明できる。 ・歯科所見による死後記録を作成できる。 |
| B-2-3) 歯科による個人識別 |
15 | 6.19 | 5 | 22.損傷
1)定義と用語 2)顎顔面外傷をみたときの法医学的問題点 3)分類 4)損傷による死因 5)生活反応 (参2)pp.61-98 | ・創傷の数,部位,性状および程度などから,自為,他為,あるいは災害によるものかを鑑別できる。
・創傷を成傷器によって分類し,それぞれの特徴的性状について説明できる。 ・損傷による死因を決定するにあたり,留意すべき事項を概説できる。 ・個体が外から刺激を受けたとき,生体でなければ生じない所見(生活反応または生体反応)の種類と意義について理解し,死後損傷との識別ができる。 |
| B-2-3) 歯科による個人識別 | |
16 | 6.19 | 6 | 23.異常環境下の障害
(参1) pp.41-47 (参2) pp.114-123 | ・熱傷の原因とその所見について説明できる。
・焼死体の所見および個人識別法について概説できる。 ・凍死の発生要因と死体所見について説明できる。 |
| B-2-3) 歯科による個人識別 | |
17 | 6.20 | 3 | 24.虐待
1)定義と用語 2)虐待の法医学的問題点 (参1)pp.54-64 (参2)pp.182-186 | ・虐待の定義,発見時の対応について説明できる。
・乳幼児や小児が親や保護者から繰り返し虐待を受け,それによって生じた外傷の特徴的性状について説明できる。 |
| C-5-7) 個体の死 | |
18-20 | A B | 6.22 6.22 | 1 ~ 3 7 ~ 9 | 25.歯科所見による身元確認(2)(実習)
2)生前記録の作成 (1)生前の歯科情報の整理 (2)歯科記録用紙への記入 (教1) pp. 47-67 (参1) pp. 156-167 | ・該当者の生前情報の収集における留意点について説明できる。
・生前情報においてX線写真や口腔内写真の重要性について説明できる。 ・生前の歯科情報をまとめ,歯科記録用紙に記載できる。 |
| B-2-3) 歯科による個人識別 |
21 | 6.26 | 5 | 26.大規模災害時犠牲者の個人識別作業
(教1)pp. 34-54 (参1)pp. 181-194 (参2)pp. 262, 283-284 | ・大規模災害時の個人識別作業の実際について説明できる。
・災害現場での歯科医師としての役割を説明し,作業内容を列挙することができる。 |
| B-2-3) 歯科による個人識別 | |
22 | 6.26 | 6 | 27.遺骨鑑定
骨の形態を指標にした法医鑑定 | ・戦没者遺骨慰霊事業(厚生労働省)について概説できる。
・戦没者遺骨慰霊事業の一環として実施されている骨を指標にした人獣鑑別および人種の特定法について説明できる。 |
| B-2-3) 歯科による個人識別 | |
23-25 | A B | 6.29 6.29 | 1 ~ 3 7 ~ 9 | 28.歯科所見による身元確認(3)(実習)
3)歯科所見の照合と判定 (1)死後記録と生前記録の照合 (教1) pp. 47-67 (参1) pp. 156-167 | ・歯科情報による個人識別法の原理について説明できる。
・歯科情報が個人識別に有効な理由について説明できる。 ・遺体の死後記録と該当者の生前記録との照合作業における所見の一致・不一致の判断ができる。 ・照合結果を記録用紙に記すことができる。 |
| B-2-3) 歯科による個人識別 |
26 | 7.4 | 1 | 29.薬物による犯罪と責任能力(1)
1)中毒,毒物の定義 2)薬毒物の分類 (参1)pp. 65-82 (参2)pp.123-173 | ・各種の法律で定義づけられている薬毒物の定義を説明し,また分類することができる。
・薬毒物を分析化学的,および薬理学的に分類できる。 |
| C-5-7) 個体の死 | |
27 | 7.4 | 2 | 30.薬物による犯罪と責任能力(2)
3)有毒性ガス 4)アルコール中毒 5)歯科で扱う薬物 (参1)pp. 65-82 (参2)pp.123-173 | ・主要毒物(一酸化炭素,硫化水素,青酸,有機リンなど)およびアルコール,向精神薬などの性質,中毒作用機序,解毒,死体所見などについて説明できる。
・歯科で扱う薬物(砒素,フッ素など)について性質,中毒作用機序,解毒について説明できる。 |
| C-5-7) 個体の死 | |
28-30 | 7.6 7.6 | 1 ~ 3 7 ~ 9 | 医事法学平常試験(2),法医学平常試験(1)及び実習試験
「平常試験の解説」 | ・医事法学平常試験(2)は,医事法学の第1〜11回を試験範囲とする。
・法医学平常試験は,医事法学の第13〜17, 21, 22回,並びに法医学演習の第7〜10回を試験範囲とする。 ・試験及びその解説により,授業内容の理解度及び習熟度を確認する。 ・実習試験は,血痕検査(医事法学の第18-20回),性別判定(医事法学の第23回及び法医学演習の第5回),年齢推定(法医学演習の第3, 4及び6回)及び歯科所見による身元確認(第11-13, 17-19及び22-24回)に関する内容について実施し,習熟度を確かめる。 |
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